新海最新作「君の名は。」がどれだけ『奇妙か』を主にデータで見て行く

君の名は。(配給 東宝) 興行収入62億(平静28年9月16日現在)
http://entamedata.web.fc2.com/movie/movie_j2016.html

監督(原作・脚本) 新海誠(43)既婚 
映画・テレビCMから成人向けゲーム(美少女ゲーム)のOP作成までマルチに活躍するアニメクリエイター。父親は地域大手建設会社「新津組」の社長・新津正勝。

キャラクターデザイン 田中将賀(40)
フリーアニメーター。専門学校を経て22歳でアニメ業界に入る。様々な有名作品のキャラデザを務める。

作画監督 安藤雅司(47)
21歳でジブリに入社後、2003年にフリー。宮崎駿最大のヒット作である千と千尋の神隠し作画監督を務める。

製作 君の名は。製作委員会(7社共同出資による製作)
東宝昭和7年(1932年設立)。国内映画製作・配給・シネコン運営会社などを行う。規模・売上共に国内第1位)
コミックス・ウェーブ・フィルム(アニメの実質制作を担当。アニメ制作からパッケージ流通までワンストップで行うアニメ総合商社。新海が所属する)
KADOKAWAカドカワ(旧・角川HD)の子会社。出版業界第4位。本作原作本の刊行を行う)
ジェイアール東日本企画(所謂、広告代理店。業界第7位。売上高は1052億(2015年)スポンサーを集めるのが最重要任務)
アミューズ(アーティスト事業やイベント企画などを行う)
voque ting(主題歌・楽曲を担当するRADWIMPSラッドウィンプス)が所属する個人事務所)
ローソンHMVエンタテイメント(ローソンで販売する各種チケットを管轄する会社。また、HMVの運営、展開を行いCD/DVDなどを販売する)
奇妙な点(1)新海氏は実績の無い監督
下記のデータを観て欲しい
1.5億円(1億5千万) 言の葉の庭 2013年公開
1.0億円(1億円) 秒速5センチメートル 2007年公開
0.2星円(2000万) 星を追う子ども 2011年公開

個人制作をした「ほしのこえ」で一躍有名になった新海氏だが、制作した作品はどれも限られた映画館だけで上映されており(ミニシアター系)興行的にも低位置にあった。
所が、今回の作品は天下の東宝が約300館の大規模な興行を断行し、著名な人物を声優に起用するなどの大盤振る舞いである。今までの作風から一転してポップで明るい喜劇とは言え、ここまでの売り込みは「ギャンブル」とみられても仕方ない。(で、その博打には勝っている)何か劇的な方向転換でもあったのだろうか?


奇妙な点(2)大手広告代理店が絡んで居ない
広告代理店売り上げ順位
1位 電通 1兆5351億円
2位 博報堂 6587億円
3位 アサツー・ディー・ケイ 3570億円


7位 ジェイアール東日本企画 1052億円
https://biz.adventurez.jp/tips/jobfile016/
色んな意味で有名な「電通」であるが、本作にはノータッチである。となると、電通が乗らないなら我が社が(博報堂)ともならず、急成長を遂げるインターネット代理店にも後塵を拝してしまっている旧国鉄グループ会社が運否天賦のギャンブルに出て大成功を収めた・・・とみられても止む無し。「これだけ圧倒的に集客を得ているのは電通の手段を択ばない広告戦略だ!・・・とは成らず、いよいよ持ってネット時代の急激な拡大が個々人を「歩く広告代理店」にしてるのかも知れない。ツイッターで「メチャおもろい!あと3回はみたい(>_<)」とか書かれると流行に流されやすい臣民は観たくなっちゃうのかもNE!


奇妙な点(3)テレビ局も絡んで居ない
はい、また図です
邦画アニメ(のみ)興行収入ランキング(平成28年9月16日現在)
※サブタイトルは省略してあります
※目安として10億以上のみ

1位 名探偵コナン 63億 読売テレビ(大阪)/日本テレビ
2位 君の名は。 62億 ‐
3位 妖怪ウォッチ 55億 テレビ東京
4位 ワンピース 50億 フジテレビ
5位 (新)ドラえもん 41億 テレビ朝日
6位 クレヨンしんちゃん 21億 テレビ朝日
7位 ポケットモンスター 20億 テレビ東京
ご覧の通り、他の作品(と言っても毎年やってる作品ばかりだが)はすべてテレビ局が「製作委員会」に名を連ねているのだが、君の名は。だけは「珍しくテレビ局が絡まずに好成績を上げている」作品だと言うのが分かる。
テレビ局が絡めば特番やったり、過去の映画を放映したり、他の自局番組とコラボしたり、タイアップイベントを自社で開催したりも出来るがテレビ局の後ろ盾がないとそういう事が難しい。それでも、他の有名作品を押しのけて「完全オリジナルアニメーション作品」が局の後方支援も得られない状態で2016年邦画アニメ第1位を目指してばく進しているのだから、もはや「凄い」と言うより「不可思議」と言っても良いかも知れない。勿論、作品自体が素晴らしいのは分かるが、かの宮崎駿でさえ(今の時代と単純に比較はできないが)大名作であるラピュタナウシカなどの初期の興行は散々たるものであった。まあ、ネットも無かったが。しかし、差し引いても本作の快進撃は異様である。もしかしたら、新海氏自身がその異様さを一番かんじているのかも知れない。

奇妙な点(4)東宝と時々角川とその他弱小連合

本作の出資者(製作委員会)達を眺めても異様だ。失礼は重々で言うなら『大ヒット作品が作れない”制作”会社」「お世辞にも大手と言えない広告代理店」「何を思って出資したか分からない音楽アーティスト会社」「歌手が所属する小さな有限事務所」「まあ少しでも利益になれば良いかな?(忖度)と思って舟に乗ったチケット屋」。そして、その他出版物と同様に赤字が出ない程度に捌ければ良いと考えたで(あろう)角川書店

だが、どうにも東宝だけは何か違う気がしてならない。これだけの箱(スクリーン)を用意した時点で腹を括った本気の博打に打って出たのでは無いだろうか。裏を返せば、ギャンブルに出なければ行けない程の実写を含む邦画の危機を感じたのでは無いかと思えて仕方ない。
相変わらず衰え知らずなハリウッドを見ると余計にそう思える。既存の名物アニメも一部を抜かし良い状況とは言えない。
まあ、蓄えた版権で凡作を作って居れば一応はある程度生き残れるが何時かはその兵糧も朽ち果てて組織ごと散る。ならば、芽がありそうな奴に一つ大きくコインをはってジャックポットの開放を狙ってみようじゃ無いか・・・そんな感じだろうか。

そう考えると、弱小チームにこれだけ大きで豪華なグラウンドを用意したのも腑に落ちなくはない。それに応えるかのようなまさかの全員猛安打の行くぞグランドスラムである。

まあ、ある程度の計算はしても「最後は出たとこ勝負」ですから。

そんな東宝連合の大博打、作品と共に奇妙さを抱きつつもワクワクしながら拝見させて貰えれば幸いです。

・・・と言う事で下種なおじさんは純粋培養ストーリーを横目にオリンピックよりも燃える怒涛の新記録に違和感を感じつつも注目するのでありました。



ただ、作品的に言うと正義のヒーローが颯爽と銃を乱射しまくる火薬の煙が漂って来そうなバイオレンスアクションが好きです!正義のヒーローが撃つマシンガンは良いマシンガンなのですよ。にぱぁ(オチ)