桂林荘雑詠示諸生

広瀬淡窓「桂林荘雑詠示諸生」

桂林莊雜詠示諸生  廣瀬 淡窓




休道他



郷多辛



同袍有



友自相



親柴扉



曉出霜



如雪君



汲川流



我拾薪


  

桂林荘雑詠

諸生に示す 広瀬 淡窓

(い)ふを休(や)めよ 

他郷苦辛
(くしん)多しと、 同袍(どうほう)友有り 

(おのづか)ら相(あひ)親しむ。

柴扉
(さいひ)暁に出づれば 

霜雪の如し、 君は川流
(せんりう)を汲め 
我は薪
(たきぎ)を拾はん。

(訳)


よその地へ来て苦労が


多い、などと言っては


いけない。


仲の良い友だちが


出来て、親しみ合うで


はないか。


朝早く、柴の戸を


[あ]けて外へ出ると、



雪のように霜が降りて



いる。



さあ、君は川の水を


汲んで来たまえ。



僕は山で薪を拾って


来よう。