ぼくの地球を守って(良作)の残酷な描写についての考察+α

ぼくの地球を守って(著・日渡早紀/1987-1994まで花とゆめ連載)ジャンルはSFものだと思うけど細かく言うと輪廻転生もの。 恋愛要素が交っているのは少女漫画の宿命だね、BLものとかもそうだけど。全部がそうであるとは言わないが。

以下、URLごとネタバレ注意





ぼくの地球を守っての概要と最終回までの流れ
http://wikiwiki.jp/comic-story/?%A4%DC%A4%AF%A4%CE%C3%CF%B5%E5%A4%F2%BC%E9%A4%C3%A4%C6

>秋海棠の目的(愛する木蓮を凌辱した紫苑に対する復讐、報復措置)は見事に達せられ、紫苑は愛する木蓮の最期を看取り、また彼女の遺言(木蓮が紫苑に「自害だけは絶対にしないで」と懇願していた)のために自ら命を絶つことも出来ず、9年間の孤独と苦痛に侵され、(9年後ワクチンの効果が切れて紫苑自身もウイルスに感染して)発狂(正確には自らの生き地獄を終わらせる事が出来る事に対する歓喜と9年間の絶望が生み出した狂気が交った絶叫をあげながら)しながらその命を終えた。

※()は補足

9年間、孤立した宇宙船の中で大勢の死体(の保存カプセル)に囲まれながら、助けが来る事も絶対なく(母星自体が吹っ飛んで存在しない為)右にも左にも上にも下にも行けない完全に詰んだ絶望状態で己自身だけ9年間一人延々と生き続けると言う現実。 想像しただけで背筋が凍り身震いがしてくる。まさしく孤独と苦痛。

これ程に酷い「禁固刑」若しくは「罰ゲーム」は存在しないんじゃ無いだろうか?

輪廻転生を経て、輪(紫苑)に告白させて、亜梨子(木蓮)と時空と時代を超え結びつけたのは創造主たる作者の紫苑を苦しめてしまった事への贖罪であろうか。・・・しかし、紫苑と同様に木蓮に想いを寄せていた秋海棠(春彦)が転生してもなお結果、結びつかなかった事は非常に複雑な心境だ。木蓮に好かれる様に紫苑に似た姿で転生したのにこの失敗のループは辛過ぎる。

(ここからぼくが考えた最強の脚本同人誌的な感じで)

 俺だったら(転生後の)主人公を姿形が瓜二つの双子設定にして双子ながら転生前の記憶(木蓮の記憶)を同調・共鳴させる不思議な姉妹と言う形にしたかな。ストーリーラインがかなり繁雑になるけど。んで、輪(紫苑)と春彦(秋海棠)が「どちらが木蓮の記憶を継承した人物か」で苦悩させつつ、実はどちらも姿を2つに分けた木蓮自身である事を自覚させて行き、双方が木蓮への想いを成就させて行く・・・なんて形でその部分を輪君応援派も春ちゃん大好き派も納得の行く流れに持っていく。俺は恋愛共産主義者だからな(苦笑)。 土橋は女に転生(原作では男)させて玉蘭(迅八)との関係を実らせたいがそれが出来ないで苦悩する女から男に転生した槐(エンジュ・一成)の心を支えて良い感じで結びつける。玉蘭(迅八)は原作通り繻子蘭(シュスラン・桜)と良縁にさせる。 何となくゲイっぽい田村は893の組を離れて料理が上手くて角刈なので懐石料理屋の板前にさせて店で知り合った少女漫画に良く出てくる温和な性格の眼鏡OLと親密にさせて、程なく結婚。未来路(ミクロ)は何となくホモだけどそれを隠して京都育ちらしく京都大学を辞めて3歳下の少女漫画に出て来そうな可もなく不可もない感じの女の子と出来ちゃわない入籍をする。

(ここから2次創作SS)いきなり最終回

田村の結婚式の当日、祝いに来た春彦に田村は言う。
「俺は前世だの転生だの難しい事はわからねえ。だが、春ちゃんは今これから幸せになっていくんだ、俺が保障してやる。困った事があったらいつでも連絡くれ、すっ飛んで行くからな。・・・今日はありがとうな。次は春ちゃんの番だ、楽しみにしてるぜ」

そう言うと、「後ろの誰か」に軽く会釈し春彦の頭を軽く撫でて白の燕尾服を翻しながら相手と供にバージンロードを歩いて行った。春彦はただ立ち尽くし感謝と感激の想いと共に号泣した。後ろにそっと寄り添っていた女性がハンカチでその涙を拭う。

高校生になった輪は一人団地の公園のブランコに乗りそわそわと体を震えさせながら宙を仰ぐ。

「あら、高校生になってまでブランコ遊び?」

スラッとした足が目に付く妖艶な女性が公園の入口から声をかける。

「おせえよ、亜梨子。今日は残業が無い日だって言ってただろ、この嘘つきOL!」

小さな子供の様にベーと舌を出すと、勢いをつけてブランコを降りる。だが、声色はしっかり「男」に変わって居る。

「ゴメン、ごめん。お詫びにケーキ買って来たから。いちごケーキだぞ。輪君好きでしょう、お家に帰って食べましょう」

手に持ったケーキをすっと掲げる。 亜梨子に近づいた輪はケーキをジーと凝視すると徐に亜梨子に言った。
「俺、あの頃の亜梨子と同じ高校生になったら言おうと思っていた事があったんだ」

唐突なその言葉に意表をつかれる亜梨子。

「どうしたの急に真剣な顔して」

輪は空を見上げ煌々と輝く満月を見つめる。

「俺たち、こうして今この時代にこの国に転生したのは偶然じゃ無いと思っている。遥か長い時を超えて亜梨子に巡りあったのも必然何だ」

輪は亜梨子の顔を見つめると丁寧に、しかし、力強い口調で言う。

「俺は記憶の中に居た木蓮では無く目の前に居る亜梨子に言う。長い長い時と時空を経て、ようやく言える」

亜梨子は輪の真剣な眼差しに多少動揺しながらも何かを理解したかの様に穏やかな表情で口を開く。

「ごめんね、輪くん」

想像もしなかった一言に一瞬で顔面蒼白になる、輪。だが・・

「今度は私から言わせて・・・大好きよ紫苑・・いいえ輪、今日も未来もずっとこの先も。何回巡っても貴方を愛するわ、きっと遥か遠い昔からの運命ね。一緒に長い未来を歩みましょう・・・・ね?輪くん!」

言葉の端々から今の亜梨子とあの頃の亜梨子の表情が交差して交互に浮かび上がる。涙が止めど無く落下し顔中が水たまりになった様な、そんな感覚。熱い何かが全身を多い尽くし、心の高揚に変わる。

ああ、やっと終わる。遥か前世からの旅がようやく終わりをつげる。新しい未来がようやく音を立てて動き出す。

「じゃあ・・」
そう言い、亜梨子は髪をさっとかきあげ持ち上げると輪の唇に重ねた。

桜吹雪が2人を包み込む様に舞っていく。

昭和71年4月。今、二人の未来が動き出した。

この青く、美しい地球と言う星で・・・。

あーーー何か、勝手に設定かえて勢いで最終回のストーリーまでつくっちまったよ。日渡さん、ごめんなさい。原作否定ではなく、単なる2次創作同人誌みたいな物なので全く気にしないで下さいね。 何か秋海棠(春彦)も良い形にさせたかったもんだから、色々脚色しちゃったよ。なにせ恋愛共産主義者だから(2回目)

いや、最初は単に紫苑の9年間の悲劇性を言いたかっただけなんだけど。

まあ、(2次だけど)創作の自由って事で。

関係ないけど、「いきなり最終回」って言う最終回だけ集めた漫画雑誌?がちょっと昔にあったよね。あれ、好きだったな。

腹減った、終。